空の誓い、海との約束
王子、考える
 僕には何が出来るんだろう。

『お前なら十分な答えを出せるはずだ』

 一年後の僕はどんな答えを出すんだろう。




 レシュノルティアから帰る船の中、僕は船室の小さな窓からずっと海を見つめていた。陽が傾く頃、小レシュノルティアと呼ばれている島の横を通り過ぎた。

 この海に、彼が眠っている。愛しい人への想いを内に秘めたまま。

「……どんな気持ちだったのかな」

 陛下に想いを打ち明けられた時。ほんの一瞬陛下を抱き締めた時。

 陛下の船を護るため、死を覚悟して敵船に向かって行く間。散ってしまう、その瞬間。

『生きる値打ちもねぇ人殺し』

『彼は罪人で……賤民です』

『良い子でした。真面目で、努力家で』

『本国へ連れて帰りたかった』

『……好きよ、今でも。一日だって忘れた事はないわ』

『私は今、本当に幸せです』

 夕陽色の光が波間で踊る。窓枠で切り取られた海の手前に、硝子に映った僕が居る。

 数日前、ペルビアナを出た時には見たくないと目を背けていた自分の瞳を正面から見つめ直す。


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