空の誓い、海との約束
「どうしたの、シエル。浮かない顔をして」

「だって……」

 僕は鏡越しにもう一度エミリア様を見た。そして僕を。明らかに視線が降下する事に溜息が出る。

「今日までにあと十五センチは身長伸ばしておきたかったのに」

 鏡の中の自分を恨めしそうに睨む。この一年、背を伸ばす努力をあれこれ試したけれど、さして役に立たなかったようだ。

「シエル様は十四になられたばかり。これからが伸び盛りですもの、あっという間に陛下の背を追い抜かれますわ」

「そうだね、まだ諦めちゃいけないよね」

 マリーのフォローに相槌を打ちつつ、僕は再び溜息をついた。

 将来的にではなく、今日までに大きくなりたかったのだ。ちゃんと理由がある。

 プロポーズが受諾された後、婚約成立の証としてキスを交わす事になっているからだ。

 今の身長差だと、未来の花嫁にキスするというより、逆にしてもらってる体裁で……ああ、カッコ悪い。

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