空の誓い、海との約束
「マリーと彼は、親子……じゃないよね」

 恐る恐る聞いてみた。するとマリーは少し驚いた顔をしたあと、寂しそうに微笑んだ。

「リフは……私の息子と同じ歳だったんです」

「え、マリーってお母さんだったの?」

 思わぬ返答にびっくりした。確かにマリーは優しいお母さんという雰囲気を持っている。でも、彼女の左の薬指には指輪が無い。だから勝手に独身だと思っていた。

 マリーは僕のそばにしゃがみこみ、目を伏せて話し出した。

「もう四十年以上も前の事です。私はある名家の男性に見染められて、その方の元へ嫁ぎました。十六の時です」

 僕は食べる手を止めてマリーを見つめた。

「歳の差が大きかった事もあり、彼の御両親は一日も早い跡継ぎの誕生を望まれていました。ですが、私達には中々子どもが出来なくて」

 お腹の辺りで両手を重ね、マリーは続ける。

「……何度も流産しました。その度に御両親に詰られました。跡継ぎがなかなか出来ない事に追い詰められたのか、主人も次第に冷たくなって」

 なんて奴だと思ったけれど、僕は全てを知っているわけじゃない。黙して彼女の話を聞く。

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