空の誓い、海との約束




 二年後、ダグラスを筆頭とするレシュノルティアの一行がペルビアナに僕を迎えに来た。家族の前で行う誓約をもって婚姻に纏わる儀式が始まる。

 午後の陽射しが天窓から差し込む大広間に、父上と母上、兄や姉とその伴侶がずらりと揃っている。正直、誰が誰なのか分からない人も居る。

「あのシエルが女王陛下の御目に留まるとはねえ」

「物好きなお方も居たものだ」

 見世物見物感覚でいる歳の離れた兄姉達。気難しい顔で黙っている父上の横に、目を伏せて寄り添う母上が居る。

 結局、最後まで母上とは話せなかった。勇気を出して挨拶に伺ったけれど、何度訪ねても会ってもらえなかった。

 仕方ないと思いつつ、ほんの少し心残りだ。

 広間の中央に、僕と向かい合ってダグラスが立つ。その後ろにレシュノルティアの一行が整列し、僕らの両脇に家族親族が居並んで全てを見守る。

「では、始めさせていただきます」

 ダグラスが始まりを宣する。空気がぴっと緊張感を帯びる。

「初めに、シエル王子殿下御家族の御前で幾つか確認させて頂きます。よろしいですか」

「はい」

 ここで何を問われるか僕は知っている。しかし、家族は一切を知らない。

 最悪は父王に破談を申し入れられるかもしれない、とダグラスは言っていた。


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