空の誓い、海との約束
「とても良い子でした。身分は低かったけれど、真面目で、努力家で。陛下のお父君に御目を掛けられて以来、陛下に対しても忠実にお仕えして……」

 懐かしそうに目を細めて彼女は続ける。

「彼も綺麗な海色の瞳をしていました。シエル様と同じ瞳の色を」

 マリーは僕の手を取り、優しく包んでくれた。

「忌み子などと、どなたがそのような暴言を口になさったか存じませんが、私はシエル様の瞳が好きでございますよ」

 やだなあ、もう。『好き』だなんてさ。そんなおべっか言ったって何も出ないよ――

 そう茶化そうと思ったのに、出てきたのは言葉ではなく涙だった。

 僕は俯いて目をつぶった。泣くな、どうせリップサービスなんだから。いちいち真に受けるなんてどうかしている。

 マリーは腕を伸ばして僕を引き寄せ、そっと抱きしめてくれた。

「シエル様はお寂しかったのですね」

 ……僕は、寂しかったのだろうか。

 抑えきれない嗚咽が、自問に対する答えになっていた。


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