空の誓い、海との約束
「シエル様は忌み子などではございません。瞳と同じく心も綺麗な、少しやんちゃで寂しがりやの、素直で利発なお方です」

 マリーの声が優しくて。髪を撫でてくれる手が暖かくて。

 堪え切れず、僕はマリーに縋って泣きじゃくった。例えおべっかであっても、僕の存在を認めてくれて、好きと言ってもらえた事が嬉しかった。

 彼女の暖かい腕に包まれて、僕は心の奥に隠していた本心を口にした。

 ……ずっと、寂しかった。気付いて欲しくて暴れたり喚いたりしていた。あやふやな自分の存在を確かめたくて、わざと周りに迷惑をかけた。

 父に好いてもらいたかった。母に抱き締めてもらいたかった。お前は忌み子なんかじゃないって、言ってもらいたかった……。




 泣いているうちに眠ってしまったらしく、気づいたら僕はベッドの上にいた。昨日のあれは夢だったのかな、と思って右腕の袖を捲ると、丁寧に包帯が巻かれていた。

 女王陛下の婿候補として呼ばれたのに、子どもっぽい所を見せてしまって何だか恥ずかしい。

 でも、驚くほど気持ちは落ち着いた。エマお姉さんやマリーが、僕が気付いて欲しかった事に気付いてくれて、誰にも言えなかった本当の気持ちを口に出来たからかもしれない。

 悪戯が過ぎた事を付き人たちに謝ろうと思えるほど素直になれた。

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