空の誓い、海との約束
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宮殿から一番遠い北塔の地下牢には、主に死罪を犯した囚人が収監される。
塔内の警備は物々しく、窓の無い聴取室では看守役を任された衛兵による厳しい取り調べが行われる。
ある日、密輸の疑いで逮捕されたものの、調べれば調べるほど殺人、窃盗他余罪が次々出て来た囚人が北塔に移されてきた。
一見そんな大罪を犯したようには見えない、成人そこそこの少年だった。
しかし、この少年はなかなかに曲者だった。何しろ収監されてからこちら、どんなに頭脳戦で問い詰めてもどんなに拷問を加えても、共犯者について口を割らないのだ。
それどころか、口を利いたのは自分の罪を認めた一度切りで、それ以降どんな問いにも一切答えず一言も話さない。
取り調べに当たった全員が彼の硬い口を割れずに手こずっていた。
「何故話そうとしない? 所詮奴等はお前を裏切ったんだ。義理立てする理由は無いだろう?」
苦しそうに口で息をしながら彼はこちらを睨んだ。両の手を横木に括られ吊るされている為、息がしにくいのだろう。
無論、罪人に同情は無用。事実を吐かせるべく、私は彼を鞭打ってその苦痛に拍車をかける。