空の誓い、海との約束
「どうせ、要らない子だったんだもんな」

 そう、僕は望まれて無かった。もう要らないのに出来てしまったとはっきり言われた、父にも母にも。それを証拠に、母とは数年前の式典以来顔を合わせていない。

 僕には、存在価値がない。

 そんな事分かっているはずなのに、『どうせ』と諦めているはずなのに、胸がぎりぎりと痛み出す。訳の分からない苛立ちが込み上げて来る。

 僕は壁目掛けて手当たり次第物を投げつけた。時計が当たって、額縁の硝子が床に散らばった。

 よくある事なので、使用人が駆け付けて来ることもない。また暴れてる、あのバカ王子、位にしか思われてない。余計に口惜しくて、何もかもぶち壊したくなる。

 割れた硝子の上に手をついてわざと怪我をした。

 きっと誰も気付かない。誰も心配なんかしない。

「どうせ、僕なんか……」

 手の甲にポタポタと雨が降った。透明な硝子に赤い絵の具が伝った。


 僕には、存在価値が無い。

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