とろける恋のヴィブラート
その勢いで横に向かされた柴野が、頬に手を宛てがいながら奏に向き直ると自虐的に力なく笑った。
「あはは、君がこんな感情的な人だったなんてね……いいよ、別れよう奏。僕もこれ以上君に執着するとおかしくなりそうだ」
目頭に熱がこもり、切なげに眉を歪める柴野の表情がだんだんとぼやけていく。
「……ごめんなさい」
密かに御堂への想いを抱いていた背徳感、そして柴野の心に闇を落としてしまった罪悪感に、奏の頬に冷たい涙が伝った。
頬を叩かれるという屈辱を受けても、柴野の口元はうっすらと笑みを浮かべていた。柴野を責める言葉が奏の中で浮き沈みしていたが、そんな表情を見ていたら何も言えなくなってしまった。
「あはは、君がこんな感情的な人だったなんてね……いいよ、別れよう奏。僕もこれ以上君に執着するとおかしくなりそうだ」
目頭に熱がこもり、切なげに眉を歪める柴野の表情がだんだんとぼやけていく。
「……ごめんなさい」
密かに御堂への想いを抱いていた背徳感、そして柴野の心に闇を落としてしまった罪悪感に、奏の頬に冷たい涙が伝った。
頬を叩かれるという屈辱を受けても、柴野の口元はうっすらと笑みを浮かべていた。柴野を責める言葉が奏の中で浮き沈みしていたが、そんな表情を見ていたら何も言えなくなってしまった。