とろける恋のヴィブラート
※ ※ ※

 奏は、御堂と共に公演会場を後にした。


 御堂は、奏の数歩先を一度も振り向きもせず黙って歩いている。あてもなくしばらく歩いていると、開けた公園にたどり着いた。


 誰もいない夜の公園は不気味でもあったが、緩やかに流れる風が心地いい。


「御堂さん、ここの公園は広くて気持ちがいいですね」


「……あぁ、たまに野外練習で来る」


(御堂さん、もしかして怒ってるのかな……そうだよね、コンサートやるだなんて勝手なこと言っちゃったもの)


 そう思うと、ぶっきらぼうな口調に気持ちがどんどん沈んでいってしまう。


「おい」


 人知れず長いため息をつく奏の頭の上で、ふと御堂の低い声がした。奏は、驚いて跳ねるように顔をあげると、御堂の真摯な眼差しと目が合った。
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