とろける恋のヴィブラート
 乱れた髪の毛をさっと整えながら奏が柴野に向き直ると、同時に重ねるだけのキスで唇を塞がれた。温かな柴野の温もりが唇を通して伝わってくる。


(私のぬくもりも……伝わってるのかな)


 短いような長いキスが離れると、奏は椅子の背もたれにかかっていたバスタオルを手繰り寄せた。


「私、シャワー浴びてきますね」


「あぁ、ゆっくり入っておいで」


 気恥ずかしい気持ちを隠しながら、奏はシャワールームへ入っていった。
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