ブラックレター~高嶺の花に恋します~
そんなことを思いながらじとりと絢子の後ろ姿を見ていると、くるりとその綺麗な黒髪をなびかせ振り返った彼女がそんな問い掛けを私に投げ掛けた。
その時の彼女のニヤニヤした表情といったら。
場所が家でこの服を着ていなかったら、一発叩いているような顔だ。
そんな顔でも綺麗なのだから美人はずるい。
絢子の顔はこんな静寂に咲いた一輪の月下美人のように儚くて美しい。
だが、その顔はムカつく。
ニヤニヤした絢子に反抗したい気持ちは十分。
だがしかし、答える答えはどう頑張っても彼女が求めているものしか出てこない。
「か、格好よかった…っ」
そう。格好よかったのだ。
スクリーンで見るあの人は。
どうしようもなく格好よかったのである。