あの日々をもう一度
五章 置いていかないで
次の日は授業も身に入らないまま放課後を迎えた。
もちろん今日告白するってことはかなぽんには内緒。
だって、昨日恋に気づいて告白って早すぎるって言われそうだから。
でも、気持ちは早く伝えなきゃね。
あとは…
ふられたときに
言えないから。

凜は沢山の気持ちが混じった複雑な気持ちで星夜の所へ向かった。
昨日より緊張しているのが自分でもわかる。
小刻みに震える手を握りしめながら話を切り出す…

「「あのね(さ)」」

見事にかぶった。
「先にいいよ」
星夜が言いたそうな顔をしたからそう言った。これが後で後悔することになったけどね。

「あ、ごめん。あのさ話があるんだ。」
言いにくそうにしてたから、
「なぁに?大丈夫だよ?言って?」
って急かした。
「俺さ…俺…」

「留学するんだ…」

言葉が出なくなった。

「まだまだ卵のヘアスタイリストだからさ。海外のすごいやつらと戦いたいんだ。腕を磨きたい。」
あまりの衝撃に小さな声しかでない。
「いつ決まってたの?」
星夜も小さな声。
「一昨年」
「じゃ、何で言ってくれなかったの?!」
つい声が大きくなる。
「いや、言いにくくなって」
星夜はさっきよりもっともっと小さな声。
「もういいよ!私のことなんかどうでもいいんでしょ?!」
よくない。こんなはずじゃない。
「おい、待てって!」
引き戻そうとする星夜にラブレターを投げつけて私はアパートをでた。
こんなはずじゃない。
私の思ってることと、行動が違う。
星夜を怒らせたかも。
いや、起こらせちゃったかも。
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