お向かいさんに恋をして
「そんな話ししてる場合じゃないでしょ。

日野、とりあえずさくらちゃんを秋中さんから離してあげて? 
秋中さん意外に力が強いのよ。あたしたちだけじゃなかなかね」

「おぉ、わかった。
で、この男性は? 波江さんの彼氏?」

秋中さんの腕を引きながら彼は言った。

彼氏……だったら良いけど……。

黙りこんで返事をしない私に代わって留奈さんが答える。

「同じフロアの秋中さん。
日野、会ったことない?」

「いんや? 会ったことないなぁ。
同じフロアなのに、なんでだろ」

「ん~、生活リズムが違うのかしらね?
ま、いいわ。取り敢えずさくらちゃんを助けて、秋中さんを連れていきましょ」

留奈さんと話しながら、屈んだ右隣のお兄さん……。
日野さんは秋中さんの腕に手をかけた。
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