いちごみるくと恋わずらい
あははと笑いながら、自分の隣をぽんぽんと手のひらで叩く。
そのたびにレジャーシートがカシャカシャと音を立てた。
「えと、じゃあ……、失礼します」
そんなに笑われるようなことかなぁ、と思いつつ、屈託なく笑う卯月くんに心が一瞬浮き上がったみたいな感覚がして、なんだかくすぐったい。
どうしてそんな感覚がするのか戸惑いながらも私は立ち上がって、言われたとおりに卯月くんの隣に腰を下ろした。
隣に立ってから座るまでの数秒。
見下ろされるばかりだった視線が逆になって、言葉もなくぶつかった視線に、くすぐったさが加速する。
「……こ、こんなに広いのにくっついて座るのも、なんかおかしくないですか」
「離れてるよりいいだろ。……つか、ずっと思ってたんだけど、なんであんた俺には敬語なの?」
妙な気恥ずかしさに俯きがちに膝を抱えていた私の顔を、ずいっと覗き込んできた卯月くん。
整った顔が急に目の前に現れたことにびっくりして、目を見開いてしまう。
「……な、なんとなく、です」