天才極甘党系男子
次の日。
いつものように澄乃に見送られて病院へ向かう。
その途中でまたもや、あの看護師に会った。
澄乃とこれから向き合いたい。
そう思い始めている僕にとって邪魔な存在。
そんなこと思ってはいけないんだけど、
ほら。
僕って不器用で同時進行なんてできないから。
本当に澄乃が大切な存在になった時に、
守ってあげられないと思う。
「おはようございます、先生」
「おはようございます」
「今日も奥さんの見送り付きですか?」
「…あー、まぁ」
奥さん、ではないんだけどね、まだ。
「いーなー。あたしも奥さんになりたいな」
「他にもっといい人いますよ」
「先生がいいんですよ」
「僕は澄乃がいますから」
それは自分に言い聞かせているのも半分。
「好きでもないのに?」
そう僕に当たり前のように聞いてくる。
「思ってるより僕たちに、隙はないですよ」
ひとつひとつを丁寧に交わしていく。
それが僕にとって大変なことだった。
そして、いつも思う。
どうして、紗和はやめたんだよ。って。