天才極甘党系男子
「もう少し礼儀を教えてやれ、颯佑」
「すみません」
「颯佑……」
わたしの腰を抱き寄せてお義父さんをまっすぐに見る。
「今日はご報告だけです。
忙しい中申し訳ありませんでした」
「あぁ」
そのまま部屋を出て扉を閉める。
「笑顔で切り抜けよって言ったのに」
「あんな言われっぱなしなんて嫌じゃないの?!」
「本当じゃん」
たしかに最低だけど親だけは子供を高評価するものじゃないの?
こんな関係にあることが悲しくなった。
「もう疲れたから、家に帰ろう」
「…うん」
「あ、あと」
迎えに来たエレベーターに乗ると口を開く。
わたしが颯佑を見るとおもしろそうににやにやしている。
「なに?」
「まだ渡辺澄乃だよ?結婚してないんだから」
「……あっ」