土曜の昼下がりに、あなたと

「俺……ごめんな」

「え?」

「いつも、優しくなくてごめん」


悔しさと情けなさがまざったような声と、ちょっと悲しげな切ない表情。

思わず胸がちくんと痛んだ。


「忙しいからとか、疲れてるからって……ごめん」


高哉もいろいろ気にしていたんだ。

私のこと、気にしてくれていたんだね……。


「高哉は優しいよ」


いつも居心地のよい部屋に私を迎え入れてくれて。

そうそう、冷蔵庫にさりげなく私の好きなアイスを買っておいてくれたり。

きっと仕事でいろいろあるでしょうに、決して私に八つ当たりとかしないし。

なのに、私は――。


「私のほうこそ……ずっと、ずっとごめんね」


いつもキレイにしてなくて、手ぇ抜いてばっかりで。

怒りっぽくて、イライラをぶつけたり。

こんなにあなたに甘えているのに、そのことにさえ無頓着で気づかずに……。


「高哉と一緒にいるときが一番いい」


どこよりも心地よい私の場所。

誰よりも好きな愛しい人。


「いつも……ありがとね」


今度は私から彼にキス。

求めるばかりでも、待ってるばかりでもダメだから。

これからは、彼とちゃんと向き合いたい。


「俺のほうこそ……ありがとな」


ちゃんと……伝えあって、確かめあって、想いをずっと重ねていきたい。

高哉も私も今日はとってもお喋りみたい。

特に高哉は、その……もともと"喋りながら"ってタイプじゃないのに、今日は……とろけるような甘い言葉をたくさんくれた。

それに、私を切なく困らせる蜜のような意地悪も。

こんなに素直になれたのは、素直に愛し合えたのは――ひょっとして、この香りのせい???

最初は甘い果実のような印象だったけど、今は草木のような花のような……ほんのり甘いようでいて神秘的な不思議な香り。

そして、この香りは気だるい余韻を満喫するのにとても似つかわしい気がした。
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