恋の授業。
そもそも、この人はワタシの何を知っていてこんな事を言い放ったのか。
まるで見透かされているみたい、とは感じていたけど、ワタシが14歳で確立した4種類の表情を『時と場合に応じた無難な顔』だなんて評価されたくない。
はぁーー。
この人やっぱりやだ…
このホクロメガネっ。
だいたいワタシは本心を隠している訳じゃない。
本当のところを、誰かに聞いてもらいたいとも思わないし、言うつもりもない。
「怒らせてしまいましたか?」
何でまた薄ら笑いで聞くわけ?!
「怒っても、いいんですよ?」
もう、意図が理解できない…
「僕の事なんて全然知らないのだから
怒ってみたらどうです?」
いやだから、全然知らない人とはそもそも関わりたくないんだってば…
もう面倒くさい…!
「桜の写真、ありがとうございました。
ホクロメガネさんのおかげで、いい思い出付きの写真になりました。」
早くこの場から逃げたいワタシの声に
張りどころか強弱すら皆無だっただろう。
棒読みだ。
それなのに、それを解っているはずなのに、一瞬クシャっと笑顔になった。
「ハハッ!ホクロメガネですか。」
…大人の余裕ってやつか。
「………」
「いつからそう思っていたんですか?」
はぁ。もう、どうでもいいや。
「さっき。」
「あぁ、さっき、僕が写真撮っているのを、凝視していたときですね?」
やっぱり、バレてたのか…
このホクロメガネ、ほんとなんなんだ?
「あの、何ですかっ?何がしたいんですかっ?」
頭も気持ちも、ゴチャゴチャだ…
「特に、どうしたいとかではありませんが…」
あぁもう、話にならない。
もう帰ろうと思って後ろを向こうとしたとき、更に続けられた。