恋の授業。


そもそも、この人はワタシの何を知っていてこんな事を言い放ったのか。


まるで見透かされているみたい、とは感じていたけど、ワタシが14歳で確立した4種類の表情を『時と場合に応じた無難な顔』だなんて評価されたくない。



はぁーー。
この人やっぱりやだ…

このホクロメガネっ。



だいたいワタシは本心を隠している訳じゃない。
本当のところを、誰かに聞いてもらいたいとも思わないし、言うつもりもない。



「怒らせてしまいましたか?」



何でまた薄ら笑いで聞くわけ?!



「怒っても、いいんですよ?」



もう、意図が理解できない…



「僕の事なんて全然知らないのだから
怒ってみたらどうです?」



いやだから、全然知らない人とはそもそも関わりたくないんだってば…

もう面倒くさい…!



「桜の写真、ありがとうございました。
ホクロメガネさんのおかげで、いい思い出付きの写真になりました。」



早くこの場から逃げたいワタシの声に
張りどころか強弱すら皆無だっただろう。
棒読みだ。

それなのに、それを解っているはずなのに、一瞬クシャっと笑顔になった。



「ハハッ!ホクロメガネですか。」



…大人の余裕ってやつか。



「………」



「いつからそう思っていたんですか?」



はぁ。もう、どうでもいいや。



「さっき。」



「あぁ、さっき、僕が写真撮っているのを、凝視していたときですね?」



やっぱり、バレてたのか…
このホクロメガネ、ほんとなんなんだ?



「あの、何ですかっ?何がしたいんですかっ?」



頭も気持ちも、ゴチャゴチャだ…



「特に、どうしたいとかではありませんが…」



あぁもう、話にならない。



もう帰ろうと思って後ろを向こうとしたとき、更に続けられた。


< 12 / 324 >

この作品をシェア

pagetop