恋の授業。
イライラやもやもやがどうにも消化できずに、ベンチから浮いた足で宙を蹴り飛ばす。
ホクロメガネが来る保証なんてないけど、なんとなく今日は会えそうな気がする。
はぁーーー。
夏の匂いだぁーーー。
大きく吸い込んだ空気はすっかり夏の匂いになっていて、ワタシは少しだけワクワクした。
「もう夏の匂いですね。」
突然聞こえたその一言で
それが誰なのかすぐにわかった。
急に騒ぎ出す心臓と本当に会えたことに驚きながら、瞑っていた瞼を開けると、いつかと同じ立ち位置からクスクスと笑うホクロメガネが見ている。
……っ!
本当に来た…!
「夏の匂い、わかる?」
動揺してることを悟られないように、普通に返事をする。
ホクロメガネは当たり前のようにわかりますよと言ったけど、季節の匂いを誰かと共感するのは初めてだった。