恋の授業。



「川原さんってさぁ…」



名字で呼ばれることが寂しく感じないわけではない…



「…な…に?」



それでも、呼んでもらえないより全然良い。



「良い意味で、雰囲気変わったよね?」



変わった…?ワタシが?


………?



もしそう見えるなら、それはワタシが森川君を好きだと自覚したからだろうな。

かと言って、それがバレバレでは困ると思うと、焦りと不安で急に心臓がお祭り騒ぎを始めてしまった…



「そ、そうかな??どんな風に?」



探りを入れてみる。



「何て言うか~…。悪く聞こえたらごめん、」



悪く…?
な、なんだろ……



「初めて話した頃、誰とでも上手く話せて、余計なこと言ったり羽目外したりしないけど、どっか壁を感じてたっていうかさ…あー俺ってその他大勢なんだろうなって思ったりしてさ、」



ワタシの『4種類の顔とそれに見合った言葉』は、ハッキリと森川君に伝わっていたらしい。

それはワタシもわかっていたことではあった。
でも、それで構わないと思っていたんだ。


森川君は、歩幅をワタシに合わせながらゆっくりと歩いてくれる。
ワタシはそれを感じながら、自分の気持ちの変化を再認識していた。



「だけど、それでもよかったんだ…」



え?……



森川君の言葉を、いいようにとってしまいそうになる…
どうしても、どう抑えても、やっぱりドキドキは止められないんだ。



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