恋の授業。

ワタシが顔を上げて森川君の方を見たことに気付いているとは思うけど、森川君は前を見たまま話を続ける。



「本当の、川原さんを知りたいと思ったし、知ってみせる！って思ったから。」



勝手に期待してるくせに、しかも過去の事なのに、ワタシに対しての感情を言葉にされると羞恥で息苦しくなってしまう。



ワタシはそんな風に想われてたんだ…



あの頃の自分が羨ましい気持ちと、気付くのが遅かったと後悔する気持ちと。
ワタシの頭の中はぐちゃぐちゃだった。



「あの時は結局ダメだったけど…」



自嘲気味に笑いながら振り返った森川君の顔は、意外にもスッキリとしていた。



「でも、それもよかったのかなって、思えるんだ。」



…っ……
よかった…？



その言葉は、やっぱりワタシと付き合わなかったことを、よかったと思っているということだ…。

気付くのが遅かっただけじゃない。

自分が何もしなかったんだ。



これは、自業自得…