恋の授業。



「見せて見せて!」



隣同士に座っているのにこっちを向いている森川君は、本当に犬みたいだ。



「ほんとに、たいして載ってないよ?」



怖ず怖ずと2冊とも開いて渡す。



ぅあぁぁー恥ずかしいよーーー



「う~ん、やっぱりかわいいっ!」



きょ、今日の森川君、なんか変…
元々恥ずかしいことを言ってくる人だけど、今日はまた随分ハッキリとおっしゃる…!



顔に体中の血液が集まってくる。
きっと真っ赤になっている頬を抑えながら、街灯の下なんかじゃなくあっちに座っておけば良かったと、ホクロメガネと座るベンチを横目で見る。



「よく考えたら、俺、川原さんの私服って見たことない。」



雑誌から目を逸らさずにボソッと言う。



「確かにそうかも。」



制服以外で会ったことがないんだから、ワタシだって森川君の私服姿は見たことがない。



見てみたいな…



と、思った時。



「見てみたい。」



そう聞こえた。


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