恋の授業。



お店を出ると、道は花火を見にきた人達で溢れかえっていた。



「わぁ、毎年すごい人だね~!」



何気なく放った言葉。




「あー俺、実は始めて来るんだよね~
想像以上だよー」




…!!
こ、これじゃあまるで、ワタシは毎年来てるみたいじゃないか!
いや、ここ何年かは毎年来てるけど…
なんか、嫌な感じだよな~はぁ……



これ以上失敗しないようにと思っていたのに、早速墓穴を掘ってしまった。


前の自分なら…と、どうしても考えてしまう。



完全に負のスパイラルだけど、森川君の一言で気持ちは一気に浮上する。



「じゃあ、『人混みだから』手つなご?」



にっこにこの笑顔で左手を差し出してくれる…



え?!手??手?!



手ぐらいなんだ!と言い聞かせつつ、森川君の左手を見ながらみるみる顔が熱くなっていく。

『人混みだから』を、わざとらしく言ったことも、手をつなぎたいよ、とストレートに聞こえる。


ワタシは左手で顔を扇ぎながら、右手をゆっくりと森川君の左手に重ねる。


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