恋の授業。



一通り周っても森川君の納得する場所は見つけられずに、ワタシは今、木の下で1人、森川君が戻ってくるのを待っている。


これ以上歩かせられないからと、ワタシを置いて場所を探しに行ってしまったのだ。


本当に大丈夫だからと言いたかったけど、森川君の雰囲気がいつもと違って、できなかった…



なんとなく、心細い…

そんな気持ちで立っていると、『わーーー!』という歓声の後に、遅れてドカン!と大きな音がした。



「あ……始まっちゃった…」



19時ちょうどに打ちあがった花火は、キラキラと大きな光を放ち、遅れて鳴る音が全身に響く。



森川君……



見ず知らずの他人同士が集まっているだけなのに、皆が一つになって歓声を上げる。



この瞬間、森川君と一緒に居たかった…。



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