恋の授業。



周りの人たちがそろって上を見上げているけれど、ワタシは森川君が戻ってこないかと、キョロキョロ周りを見渡していた。



その時。



2人の男性が目の前に来た。
無精ひげに肩まである髪を耳にかけながらニヤつく男。
もう1人は、金髪の髪をピンで止めている。
耳たぶのピアスは、ポッカリと穴が開いていて痛々しい。




「1人ー?」



と、ニヤつく無精ひげが聞いてくる。



ゥワァァ…
変なの来たよ、やだよぉ。
すごい、威圧感…



多分成人していると思われる男2人に前を塞がれると、低身長のワタシは心もノミのようになってしまう。

こういうときは感情を出さずに無表情で相手にしないのがいいと、何かの時に綾子に言われたのを思い出して必死で無表情を作る。

今まで簡単にしてきたことも
この恐怖の中では難しい。



…ど、どうしようどうしよう…



「はぐれちゃったんならもういーじゃん?オレらと遊ぼうよ~」



何も答えないワタシに、今度は金髪の方が口を開ける。



…どうしよう…!



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