恋の授業。



やっと止まったと思ったら、花壇のレンガに小さなレジャーシートが敷いてあった。



「ここ、座って」



レジャーシート、用意してくれてたんだ…



ありがとうと言って座ってから森川君を見てみると、明らかに浮かない表情をしている。



キラキラの花火。
周りの人たちの楽しそうな笑顔。
ワクワクするような音。

あまりにも不釣り合いな状態だ。



…そりゃ、あんな柄の悪い人たちに絡まれちゃったもんね……



ボケーッと突っ立っていたからいけなかったんだと、ワタシまで落ち込みそうになったけど、今は森川君に謝らなくてはと気を持ち直す。



「あの、…ごめんね、嫌な思いさせちゃって…。ワタシがボケーッと立ってたから…。」



ギュッとつかんだバックから、恐る恐る森川君の方を見てみる。



「なんで川原さんが謝るの…。悪いの全部、俺じゃん。」



「…………」



自嘲気味な表情と苛立ちを隠せない森川君の言葉に、何と言っていいのかわからなかった。


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