恋の授業。



小さくため息をついて綾子と教室に戻ると、森川君がワタシを見て手を振っている。



……


え。


え?。



「ほぉら!彼氏が手振ってるよ〜?」



思考停止していたワタシの頭は、綾子の言葉に起こされた。



ほ、ホントにワタシに振ってんだ…



尻尾をバンバン振って喜んでいる森川君の笑顔に、若干…いや、相当押されながらも手を振り返す。



その瞬間…



ざわついていたはずの教室が突然静まり返った。



あ…こういうの何て言うんだっけ?

天使が、通った?だっけ?



教室中の視線はワタシか森川君に注がれている。



あぁ……



今の行動で私たちの関係が怪しまれたんだろう…
と言うよりは、もうバレてしまったんだ。

昨日の今日で、なんとなく気が重くなってしまった。


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