恋の授業。
どれくらい経ったのかわからないほど、私たちは抱き合ったまま座っている。
誰も通らないのがせめてもの救いだ。
「あの…」
そろそろ…そう思って森川君の背中に回していた腕を解くと、ワタシに回された腕はまたギューっと強く締め付けた。
…うっ、く、苦しい…
どうしよう…
すごく、傷つけちゃったんだ。
「……」
「…………」
後悔で鼻の奥がツンとした。
それでも、ワタシが泣くわけにはいかないと必死で堪えていると、森川君がゆっくりと大きく息を吸った。
「明日から、家族が旅行に行くから…」
耳元でも消えそうなほどの小さな声で、その次を予感させる言葉を発する…
「誰もいないから…」
………
「うち、来れる?」
別に、嫌なわけはない。
初めてじゃないから
怖いわけでも無い。
森川君といつか、とは思ってた。
だけど……
このタイミング…
断れない。
これ以上…不安にさせられない。
ワタシなりに必要だった覚悟を決めて、森川君の胸の中で頷いた。