恋の授業。
「なんか、くーと森川って全然正反対なんだけど!」
「言えてる言えてる!森川が一人で盛り上がってるって感じ?!」
2人はワタシを置いて盛り上がっている。
「朝駅で会っただけだってばぁ」
「はいはい。そんなことわかっますよーだ!」
そう言ってくすぐってくる綾子に
睨みながらも笑ってしまう。
「でもさ、くーと森川って何か接点あったっけ?どんな話したわけ??」
恋愛体質のマリは
こんな芽も出ない話に興味深々らしい。
「んー、なんか、引っ越して、駅が一緒みたい…?」
「あーうん。それでそれで????」
会話の内容をよく思い出してみるけど
覚えているのは家が同じ駅だということと森川君はよく笑うしよく喋る、ということだけだった。
「後は…わからない、でも、よく笑う人、かな?」
「ブッハハハ!そんなの、クラス中の、っていうか学校中の人が知ってるって!」
綾子が呆れ顔で笑っている。
「えっ?どういうこと?」
「くーって本当にうといよねぇ」
マリに関してはため息までついている。
2人の説明によると、森川君は結構人気のある男子なんだそうだ。
いつもニコニコしてるし誰にでもフレンドリーで優しいらしい。
おまけに長身でバスケが上手くて顔もそこそこイケているから、狙っている女子は多いらしい。
ふーん、だから今朝視線をいっぱい感じたわけねー…
そんなことを思いながらふと森川君の方を見ると、森川君と目が合った。
思わず固まると、片目をぎゅっと瞑って顔の前でゴメンのポーズをしている。
なるほど。
この可愛らしい笑顔にファンが多いのか。
ワタシもペコッと頭を下げて、椅子に座った。