恋の授業。




「じゃあ、またね!」



綾子と駅で別れたワタシは、家までの道をゆっくりと歩いた。



マリからのプレゼントがなぜか大きなクッションで、意外と重たいそれは大荷物だった。



あ……もう、散っちゃう…



夕方の6時とはいっても、真冬と違ってまだ薄明るい。



………そうだっ!



桜の写真を撮ろうと思って、スマホを片手に腕を伸ばす。



…あっ!そうだった、届かなかったんじゃん!
ははは!バカだ…



ちょうど1年前の事を思い出していた。

ここで桜の写真を撮ろうとしてホクロメガネに注意された。



っふふふ!ワタシ、あの時ホクロメガネのこと、大っ嫌いだったなぁーふふふ!

あぁ…ホクロメガネ、元気かなぁー



1年前と同じように、フェンスに跨がる。
手の荷物がある分、バランスをとるのが難しい。


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