恋の授業。
3月の下旬とは言っても夜はまだ寒くて
暖房の効いている電車の中は堪らない。
暖かさと心地のいい揺れが睡魔を連れてくる。
夜の電車は
スポーツバックを持った部活帰りの男子校生や会社帰りの大人たちがスマホいじりに夢中だ。
終業式の今日は、クラスで打ち上げをするという半ば強制参加の行事に
人間関係を円滑にするためだと思って行きはしたものの、やっぱり楽しさよりも気疲れの方が何倍も大きかった。
…ワタシには、泣いていた子達の気持ちがわからない。
あぁ、眠い……
……
…………
…なんか、声が聞こえる…
ん?何?誰?
なんか、遠くで呼ばれてる…?
「エッッッ!?」
ハッとした瞬間目に飛び込んできたのは
ワタシの腕を引っ張る手……
そのままぐいぐい引っ張って
ワタシを何処かへ連れて行く。