恋の授業。


この先にやってくるカーブで、車内は重力に負けてライブ会場と化する。


その時

森川君とワタシの距離感はどうなるのか…


容易に想像ができる。



…ってだからっ!
気にしすぎ!
どうしたのワタシっ!!


気合を入れてその時を待つ。




ガタガタ……

ガタン!




「……っく!」



カーブで傾いた満員電車で、確実に下敷きになると覚悟していたワタシは、その怖さに怖じ気づいて目を閉じた。
食いしばった口からは声にならない声で変な音だけ飛び出した。





………あれっ…???



ふわっと、森川君の香水が香る…


押し寄せてくるはずだった重みが、全く感じられない。



…なん、で…?

えっ……!


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