恋の授業。
恐る恐る目を開けてみる……
目の前にあるのは…森川君のブレザー…、の中の薄いベストだった。
瞬時にワタシの顔面は大爆発して、瞳だけをキョロキョロさせている。
だって、どうしたってそうなってしまう……
前のボタンを止めていないブレザーは、ワタシの左右の視界を完全に遮って、ワタシをすっぽりと包み込んでいる…!
薄暗い空間の中でワタシが感じられるのは…森川君の匂いだけ。
ワーアーーアー!!
どどどどうしよう、どうしよう、
どうしようどうしよう!
ワタシが押しつぶされないようにガードしてくれてる?!
わーっ、わーーーーっ!
どうしていいか解らずに心の中で叫びまくっていると、電車が揺れる度に森川君のたるんだベストが鼻を掠る。
ちょっ!あっ!付いちゃうっ!
もしワタシのグロスが森川君のベストに付いてしまったら、なんか嫌だ!
とってもイヤらしい気がする。
そっと、森川君のベストを手で押し返した。