満たされる夜



遠藤と終わってから一週間。
私は変わらず過ごしていた。
仕事が忙しくて、パソコンと睨めっこしすぎて目が疲れる。
定時を過ぎても一向に区切りがつかなくて、今日も残業コースだ。


課長もいつも通り眉間にシワが寄っている。
それさえなければいいのに。
目力があるだけに、尚更恐い顔。



休憩を取ろうと自販機にお金を入れて何を買おうか迷っていたとき、後ろからスッと手が伸びてきてブラックコーヒーのボタンを押された。


「課長?!」


何事もなかったように、課長は缶コーヒーを取り出してプルタブを開ける。

タイトな紺のスーツはよく見ると細いストライプだ。
それに淡いブルーのネクタイ。

コーヒーに口をつけた課長を見つめてしまう。
あの夜と同じ。
喉仏が上下して、どんどんコーヒーが流れ込んでいく。


「これはこの前の手間賃な」


「手間賃て…」
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