満たされる夜
「家に来てくれたんだろ?だから車飛ばしてすぐここに来た。居なかったから…帰ってくるのを待ってたらあの男が…」



不安そうな表情をしている課長を抱きしめた。

あの瞬間、不安になったのは私だけじゃなかった。


きっと、私と遠藤の間に何かあったのではと過ぎったに違いない。




「課長、袋の中身見た?」


「いや、まだ。車の中にある」


「それ持ってきて。食べてほしいから」




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課長はガトーショコラを見るなり、予想通り苦笑いをした。それでも美味しいと言いながら、優しい表情で食べてくれている。




「紹介されたお嬢さん、綺麗だった?」



「興味がないから憶えてない。この歳で独身だから余計に世話焼かれるんだよな」



結婚は本人の自由だと思うけど、組織の中ではそうじゃないのかな。特に出世が絡むと。



「重役たちには言ってきたんだが。結婚すると」


「結婚?」




課長はフォークを置くと私の手を握った。さっきまで射るような強い目をしていたのに、今はとても穏やかだ。



「めぐみと付き合ってることを言った。俺はもうこの歳だしいずれは、と。めぐみはまだ若いし、もちろん今すぐじゃない。もしかしたらいい男が現れるかも知れない。だけど、一緒になってほしいと思ってる」
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