バターリッチ・フィアンセ

お腹を満たしたあと、小さな洗面台で歯を磨いている途中で、私は鏡を見ながら昨夜の昴さんを思い出していた。





居間の小さなテーブルで牛丼を平らげるなり、「寝る」と宣言した彼。

その顔は本当に眠たそうで、収納から私の分の布団を出してロフトへ運ぶと、さっさと歯を磨いて一人床に就いてしまった。

時間は、確か21時ごろ。


まだ眠くないと思っていた私もシャワーを浴びた後はやることがなくなってしまったので、少し遅れて彼の隣にそっと寝転んだ。


……綺麗な寝顔。こうして黙っていれば、すごく素敵な男性に見えるのにな。


「あなたのこと、全然掴めません……昴さん」


寝ている彼に言っても仕方がないけれど、私はそう呟いて、瞳を閉じた。

まだ一日目だから、彼を理解できないのは当然と言えば当然なのかもしれない。


だけど、布団に隠れたお揃いのTシャツが、なんだかむなしい……


明日はお店を手伝うことになるだろうし、もう少し彼を知るチャンスがありますように。

私はそう願って寝返りを打ち、意外にも早く押し寄せてきた睡魔に飲み込まれたのだった。


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