Unchanging Love
「日曜っていったら部活で西高と練習試合でいなかったよね?」


私の顔を覗き込みながら、くるみが言った。


「うん・・・」


どうしようか考えていた私は歯切れの悪い返事をした。


「あのさ・・・」


堂本くんが申し訳なさそうに言った。


「引っ越してきた日に同じ階の人に挨拶しに行ったんだ。桜井さんちだけまだなんだけど・・・夜ならご両親もいるだろうし、遅くなって悪いんだけど、今夜挨拶しに行っても大丈夫?渡したいものもあるし」


エッ!?


だめ!だめ!絶対にだめ!そんなことしたら両親が住んでないことがバレちゃう。


両親のことには誰にもふれないで欲しい・・・


やっぱりほんとに親しい人にしか両親のことは言いたくない。


だって・・・


私、この人のこと何も知らない。


くるみから聞き出そうとしていたところにこの男がやって来たおかげで、あまり聞き出すことができなかった。


やっぱり・・・そう簡単には心は許せないかな・・・


まだ人柄もよくわかっていない人に自分のことを話すのは気が引けてしまう。


くるみにはよく言われるけど、やっぱり人見知りなのかな。


ニュースとか好きな芸能人の話とかなら大丈夫なんだけど。


でも、とりあえずさっきのことを謝って、あいさつの件は断らなくてはいけない。


仲良くするかは、もう少しこの男のことを知ってから。


いざとなればそっけない態度で接しよう。


とにかく今は、丁重にあいさつの件を断ろう。


今日はくるみの家にごはんを食べに行くから夜遅くになってしまうことにすればいい。







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