トレモロホリディ
筋トレを頑張ったらさすがにお腹が空いて来たので、私は自分の部屋に戻って食材や調味料などを袋に詰めて、ミナト君の部屋に戻った。


「おかえりー」


「ただいまー。
って、そんなに時間経ってないよー」


クスクスと笑いながら、シンクに食材を置いた。


「あっちの部屋すごかった。

蒸し風呂だった」


「やっぱそうか。

さっきあっちでご飯作るって言ってたけど、やめておいて正解でしょ?」


「ホントだねー」


ミナト君はごくたまに簡単な自炊をすることがあるとかで、フライパンや鍋などの調理器具は一応あるみたいだった。


「これ何?」


そう言ってミナト君が指差すのは、ペットボトルに入った黄金色の液体。


「これ?これはダシのストックだよ」


「ダシ?」


「まとめてとっておくんだ。

便利だよー。

何にでも使える」


「え、もしかして、この前の親子丼もこれ使った?」


「うん」


「あー、だからあんなにおいしかったんだー。

えらいね。

粉末ダシを使わずにちゃんとダシをとるなんて」


ミナト君が感心したように、目を見開く。


「まぁ、田舎モノなんでー」


「ははっ。関係ないでしょ、それ」


そんなことを言い合いながら、私達は狭いキッチンで一緒に料理を作った。

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