トレモロホリディ
「ミナちゃんは黒髪より、少しブラウンが似合うかもねー」


「え?」


「瞳が濃いブラウンでしょ?その色に髪の色も合わせたら綺麗だと思う」


「そ、そうなの?」


「うん。

強制するつもりはないけど、きっと似合う」


「そっかぁ。

でもなぁ、一度染めるとそのあとが…」


「別にさ、美容院行かなくても、自分で染めればいいじゃん」


「えっ。それってもしかして、市販のカラーリング剤でやるってこと?」


「うん」


「えー、でもムラになりそう。

髪も痛みそうだし、薬剤って危険だって大学で勉強したよー」


「うまくやればちゃんとムラなく染まるし。

薬剤が浸透しないように保護するローションだってあるよ。

それ塗布してからやれば大丈夫。

俺なんか金髪だよ?

それよかずっとマシじゃん」


ミナト君って、金髪なのにサラサラだよね。


なんかずるい…。


「自分でやるのが難しかったら、俺が染めてあげるよ。

結構そういうの得意だから」


「えっ。ホントに?」


「色も選んであげる」


「うそっ、マジでー?

じゃあ、お願いしていい?」


「うん、いいよ。明日仕事の帰りに買って来てあげる。

24時間のスーパーに寄るから、必要な食材があればそれもついでに買って帰るし」


「わ~、助かる~」


そんなこんなで、私は翌日ミナト君に髪を染めてもらったのだった。

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