トレモロホリディ
しばらくすると、今にもスキップでもしそうな壮真君が店に戻って来た。


ダスターを手に取り、ルンルンでカウンターの拭き掃除までしてしまう彼。


き、奇妙だ…。


「壮真さん。

なんか、ご機嫌っスね。

いいことでもあったんスか?」


「ん~、まあね~」


「電話の相手、壮真さんの本命さんでしょう?」


サンちゃんが遠慮もなく問いかける。


「おっ、サンちゃ~ん。

なかなか鋭いねぇ」


鋭いって…。


サンちゃんでなくても、そんなあからさまな態度だったら、ここにいる皆が気づくと思うんだけど…。


「会社帰りってことは、OLさんっスか」


「うん、そう。

この店に来たこともあるよ」


「へぇ、どの人だろ?

湊さん、知ってます?」


サンちゃんに聞かれて、さぁと首を傾げた。


壮真君の本命の相手なんて、俺には想像もつかない。


「湊、お前はよく知ってるじゃないか」


「えっ、何が?」


俺の返しに、壮真君が顔を歪める。


「おまっ、ミナちゃんだよ。


ほなみでアルバイトしてた、


あの美菜ちゃん!」

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