トレモロホリディ
「ミナちゃん、大丈夫?」


ミナト君が、私の顔を心配そうに覗き込む。


「うん、大丈夫だよ。ありがとう、ミナト君」


「今からバイトでしょ?俺もこれから仕事なんだ。ほなみまで送るよ」


そう言うとミナト君は、私の肩を抱いたまま歩き始めた。


夜道に二人の靴音だけが響き渡る。


その音とミナト君の大きな手のぬくもりに、次第に気持ちが落ち着いて来た。


「この辺りって暗いから心配だったんだ。やっぱ変な奴が現れたか」


ふぅと、ミナト君のため息が私の頭にかかる。


「俺もミナちゃんも22時から仕事なんだから、毎晩一緒にアパートを出れば良かったね。

行く方向も一緒なんだし」


確かにミナト君と私って、面白いほど生活パターンが似てるんだよね。

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