トレモロホリディ
「とにかくさぁ、ミナトと必要以上に仲良くするなって言ってんのー!

あんたみたいなダサイ女がミナトと仲良くなるって、それだけでムカつくのよ。

わからない?」


な、なんだ?それ。


「あのー、それ。

ものすごく余計なお世話な気がするんですけど」


だって、そうじゃないか。


ミナト君と私は恋人でも何でもないただのお隣さんなんだから、それについて文句を言われる筋合いはないと思うな。


「あんた、ホントむかつくわねー」


ど、どっちがですか!


鋭く睨む彼女を見つめていたら、ハッとした。


わかった!


この人、ミナト君のお店にいた人だ。


カウンターに座って、ミナト君と話をしてた。


私がミナト君と話していると、ものすごい顔で睨んでたんだよね。


あの時はなんで?って不思議だったけど。


もしかしてこの人、ミナト君が好きなのかな?


「あのー、私は本当に彼に対して特別な感情はないんです。

なので、気にしないでもらえませんか?」


それは本当のことだ。


ミナト君は顔が綺麗だからその顔にドキドキすることはあるけど、弟と同じ年齢な時点で私の中では恋愛対象外なんだ。


「あなたのおっしゃる通り私はダサイ女だし、こんな私をミナト君が相手にするはずないじゃないですか」


少し呆れたように言ったら、彼女ははぁーっと長い息を吐いた。

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