(続) 冷めた結婚


「愛海…」



切なそうな声に胸がキューって痛む。



「輝はさ、最近怒るよね。感情表に出すっていいことだと思うよ…。それって相手を思ってないとできないことだと思うから」



そう。輝はちゃんと私を思ってくれてるって考えてもいいよね?



「でもね…。怖いの…。輝を怒らせちゃってるのは私なんだけど…怖いよ…。男の人とちゃんと付き合ったことないし、男兄弟もいないし、お父さんから怒られたことってあまりないから…。慣れてない私が悪いんだけど…。やっぱり怖い…」



「愛海…」



ごめんね。



ちゃんとした奥さんが出来なくて。



この年になってもまだ恋人気分で。




ずっとこの先私には輝しかいないってそう思うけど、輝にはもっと沢山の出会いがあるよ。




「だから、別れ…」



『別れよう』そう言おうとした瞬間、前から伸びてきた彼の手によって抱きしめられ言葉を遮られてしまった。


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