クライムハザード
「……あ、そういえば」
不意に、思い出したように、卜部さんが呟いた。
「何かな」
「事件とは直接関係ないかも知れないんですけど……」
「卜部ちゃんが気になってるんなら、ワタシも気になる。いいから、教えて?」
にこりと微笑む彼女に、卜部さんは口を開く。
「ダイヤルボタンのふたつ――1と7だけ、指紋が薄いんです。まるで、上から布か何かで押したみたいに」
「……へぇ」
彼女は、にんまりとした笑みを濃くした。