輪廻する今日、六月一日。
「戦刃先生。その必要はありません」

「ん?1人で行けるか?」

「はい。1人で――」


 心配そうに僕を見つめる戦刃先生と、冷たい目をして僕を見つめるクラスメートたちを背に、僕は廊下に向かって一歩、踏み出した。

 みんなの視線を背中に感じながら、僕は真っ正面の窓に手を伸ばす。

 素早く鍵を開け、身を乗り出した。

 急がないと、少なからず誰か――主に戦刃先生――が、僕を引き止めてしまい、やりたいことが出来なくなってしまうから。


「おい?!春夏秋冬?!」


 ほらね、思った通りだ。

 今までにも何回か“コレ”をとめられたっけなぁ……。暑苦しくてウザい上に、邪魔という性質をもった厄介な戦刃先生。

 僕はそんな戦刃先生の言葉を無視して、一言、青空に向かってポツリと呟いた。


「――逝けますよ」


 ……ぐしゃっ。

 学校の4階から飛び降りた僕は、今回もまた死ぬことに成功した。

 起きたらまた六月一日の朝なのだろうと、頭の奥底で考えながら……。


 ≫ 66回目 End.
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