輪廻する今日、六月一日。
 それを聞いた戦刃先生は僕にドシドシと近付いてきて、傷口の度合いを見るために手首を掴んであげて見せた。


「これは……!春夏秋冬!お前、怪我をしているじゃないか!保健委員のやつ、春夏秋冬を保健室に連れていってやりなさい!」


 僕がイジメられているってことを知らない愚かな戦刃先生は、保健委員の子たちに向かって声をかけ、僕を保健室に連れていってもらおうと考える。

 今、熱血教師が流行っているのか知らないけど、本当に僕がイジメられているって気付かないんだねぇ。世界平和の夢を見すぎなんじゃないの?熱すぎてウザいし。ホント、バカ。

 でも、なんにせよ……このままだと、僕は手当てさせられるはめになる。

 そうしたら、きっと、僕が左手首を切らなかった時と同じ“今日”が時として流れていくのだろう。

 だったら、いっそのこと、“今回の今日”はもう終えようかな。

 いつもとまた同じような“今日”になるのなら、それを考えただけで生きる気力がなくなっちゃったわけで……早くも今日に飽きた。

 何気に、自ら切ったこの左手首の傷……ズキズキと痛むし。

 どうせ“今回の今日”が終われば、また違う“今日”がやってくるのだろうから。

 すべてまたリセットした六月一日になるのだろうから。

 後先のことは何も考えず、今は“今この瞬間”が過ぎることだけを考えよう。
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