輪廻する今日、六月一日。
 2人が落下した時の鈍い音が、聴こえたのかな。どれだけ耳がいいんだよ、戦刃先生は。

 あー、でも、このままだと見付かっちゃうな。僕の犯行が。そうしたら僕は警察に逮捕されて……日が変わる零時まで、何も出来ないんだ。警察は僕を監視してくるから、自殺さえ出来ないんだよね。

 本当は戦刃先生やクラスメートを殺したかったけど……このままだと見付かって不可能だし、見付かったら警察に逮捕されて厄介だから――今回はもう、死んじゃおっか。

 持っていたナイフを、思い切り自分の喉に突き刺す。恐怖はもうない。死に慣れてしまったから。痛みはあるけど……どうせすぐに何も感じなくなる。

 階段を背に、僕はゆっくりと後ろに向かって倒れていって……落ちていく。

 視界が狭くなる直前、戦刃先生やクラスメートが僕の方を見て、驚いたような表情を浮かべたのが見えた。

 その見知った人達の中に、校外で見た、白髪の女の子が立っているのが見えた。

 彼女は見間違えじゃなかったのか……?


 ――み、つ、け、た。


 彼女の口がゆっくりとそう動く。

 彼女が無表情で、冷たい目で僕のことを見つめていることを見たのを最後に、僕は意識は遠くなっていた。


 ≫ 99回目 End.
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