輪廻する今日、六月一日。
 僕は逃げる2人を追い掛けた。2人は階段を駆け上がり、……おそらく、僕らの教室に向かって進み続けている。

 どんどんと距離を詰めた僕は、2人の首の後ろを掴み上げ――思いっ切り僕の方に向かって、引っ張った。


「わっ?!」

「わあああっ?!」


 2人は階段の上から、頭から真っ逆さまに転げ落ちていく。鈍い音がいくつかしたのち、苦しそうな呻き声が聴こえた。

 抑えられない笑顔を剥き出しにしたまま、僕がゆっくりと振り返ると……階段の下で、頭が割れて、そこから血を垂れ流す2人の姿があった。


「プッ。惨めだねぇ!」


 これは……僕がとどめをささなくても、いずれ死ぬかな?放っておいても勝手に死ぬでしょ!

 3人が死ぬことが嬉しくて、だけど、どうせ次に起きた時にはまた生きているのだと思うと……なんとも言えない気持ちになる。

 僕のしていることに、意味など無いんだ。――そう思うと、死にたくなった。


「もう……嫌だよ……。こんなループ、早く抜け出したい……!」


 強くそう望むのに、悲しくて仕方が無いのに、涙は……出なかった。


「どうした?!何があった?!」


 背後の廊下から、聞き慣れた担任の戦刃先生の声が近付いてきた。
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