どうしようもないくらい好きでした(仮)



『早く』と願いながらも、時間が刻一刻とすぎていくに連れ、高鳴る心臓が緊張感を高めていく。


指先も、ブーツで覆われた足先でさえ冷たくなっているのがわかるのに、顔だけは火照ったように熱を帯びているようだった。


あと五分…三分…一分。


きっと、もう直ぐあの改札口から陸の姿が見えるはず。


ドキドキと鳴り響く鼓動が、外に漏れ出してしまっているのではないかと思える。


私はパラパラと改札を抜け出して来た人の姿を目で追いながら、その中に陸の姿を探す。


そんなに沢山の人が居るわけではない。


一目で、私は彼の姿を確認した。


頭一つ分、周りの人から抜き出た見慣れたフワフワの髪の毛。


背中に大きなバックパックを背負い、出発前よりも焼けた肌が少し引き締まったようにも見える。


陸は、私の顔を確認するなり優しく微笑んだ。


大きく手を振り駆け寄ってくる。


陸はもう、私の目の前にいる。




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